
作品のテーマを探しているうちに、一日が終わってしまう。撮りたい気持ちはあるのに、何を撮ればいいか決まらない。
こういう日は、「すごい場所」や「特別な出来事」を探していることが多くあります。基準が高すぎると、身の回りの題材がすべて候補から外れます。
ここでは、最後まで撮りきれる小さな題材の見つけ方を扱います。基準を下げるのではなく、完成できる条件で選ぶという考え方です。
探す前に、撮れる条件を書き出す
題材は、思いつきよりも条件から選ぶほうが完成しやすくなります。撮れないものを選ぶと、準備の途中で止まります。
紙に、いまの条件を書き出します。
- 使える時間:撮影に充てられるのは何時間か
- 場所:自由に撮れる場所はどこか
- 人:自分だけか、協力してくれる人がいるか
- 道具:手元にあるカメラと、三脚などの有無
この4つが埋まると、選べる題材はかなり絞られます。絞られること自体が助けになります。条件の中で撮れるものから選ぶと、途中で手が止まりません。
「変わるもの」を3つ書き出す
空の机が片づく。豆がお湯を通ってコーヒーになる。白い紙に絵ができる。始まりと終わりが違うものは、そのまま映像の流れになります。
変化がない対象は、短い作品では扱いにくくなります。きれいに撮れても、見終わったあとに何が起きたのか説明できません。
「おしゃれな暮らし」のような大きなテーマは、まず「朝、机を整える30秒」に縮めます。撮影できる場所と時間、自分で繰り返せる動作がそろっているかも確認します。
見せ場をひとつに絞る
机の片づけなら、道具を並べ終えた瞬間を見せ場にします。掃除用品の紹介や、一日の予定まで入れると、短い作品の中心がぼやけます。
見せ場を決めたら、その前に何が分かっている必要があるかを考えます。散らかった机、道具を移す手、整った机。この3場面で意味が通るなら、それが最初の構成です。
入れたいものが増えたときは、別の作品にします。1本に詰め込むより、2本に分けたほうが、どちらも伝わります。
見せ場が決まると、撮影にかける時間の配分も決まります。いちばん時間をかけるのはその1カットで、残りは説明として手早く撮ります。
同じ熱量でも、条件によって完成までの距離が変わります。
図の内容2列の比較表です。左は撮りやすい題材で、手順を自分で説明でき、何度でも繰り返せて、許可の要らない場所で撮れるもの。右は難しい題材で、天候や他人の予定に左右され、撮り直しがきかないものです。
撮れる条件で、選び直す
候補を「今日撮れる」「許可や協力が必要」「今は難しい」の3つに分けます。最初は、今日撮れるものから始めると完成まで進めます。
人の持ち物や室内が写る場合は、事前に確認します。見せたくない書類や個人情報が背景に入っていないかも、撮る前に片づけておきます。
撮り始めてから困る条件は、企画の段階で減らせます。条件を確認する時間は、撮り直しの時間より短く済みます。
撮影にかかる時間も見積もっておきます。30秒の作品でも、準備と撮り直しを入れれば1時間はかかると考えておくと慌てません。
撮りやすい題材の条件
同じ熱量で取り組んでも、条件によって完成までの距離は変わります。次の項目が多く当てはまるほど、最後までたどり着けます。
- 手順を自分で説明できる
- 同じ動作を何度でもやり直せる
- 許可の要らない自分の場所で撮れる
- 撮影にかかる時間が短い
- 天候や他人の予定に左右されない
逆に、一度きりで撮り直せないもの、他の人の予定に合わせる必要があるものは、慣れてから手を出すほうが安全です。
難しい題材を諦める必要はありません。順番の問題です。撮れる題材で経験を積んでから、条件の重いものへ進みます。
よくある失敗と、その直し方
ひとつめは、題材を決める前に撮り始めてしまうことです。素材は増えるのに、何の作品なのかが決まらず、編集で行き詰まります。まず1行で目的を書きます。
ふたつめは、伝わらなかったときに題材ごと変えてしまうことです。多くの場合、足りないのは題材ではなく場面です。
「道具を戻す手元が必要だった」のように、何が足りなかったかを書き残してください。次の撮影で1場面足すだけで、同じ題材が成立することがあります。
今日の1アクション約10分
候補を3つ書いて、条件で1つに絞る
迷う時間を短くします。良し悪しではなく、いま撮れるかどうかで選びます。
- 撮りたいものを3つ書き出す。
- それぞれに「やり直せるか」「許可が要るか」「何分で撮れるか」を書く。
- いちばん条件の軽いものを、今週の題材にする。
残りの2つは消さずに残します。慣れてきたら順に手を出せます。