編集の扉写真。スマートフォンで字幕の大きさを確認する手元
文字を小さくする前に、言葉を減らす。読み終える時間まで設計する。

字幕が画面に入りきらない。そう気づいたとき、最初に手が伸びるのは文字サイズのつまみです。けれど、小さくすれば読めるとは限りません。

読みにくさの多くは、文字の大きさではなく、一画面に置いた情報の量から生まれます。減らせる言葉があるなら、そちらを先に見直したほうが確実です。

ここでは、情報量、改行、表示時間、文字の調整という順番で見直す方法を扱います。順番を決めておくと、画面の前で迷う時間が減ります。

入れる前に、どこで見られるかを決める

字幕の読みやすさは、どこで見るかで変わります。スマートフォンの小さな画面と、パソコンの大きな画面では、無理なく入る文字数が違います。

書き始める前に、次を確かめます。

  • 届け先の画面:スマートフォン中心か、パソコンか、両方か
  • 音を出して見るか:音なしで見られる前提なら、字幕の役割が大きくなる
  • 画面の下に重なるもの:投稿先によっては、下部にボタンや説明文が乗る

話した内容を先に文字にしておくと、作業が速くなります。自動の文字起こしを使う場合も、固有名詞と数字は自分で聞き直します。

書体と大きさは、最初の1枚で決めます。あとから全部を変えるのは手間なので、1枚目を離れた位置から見て確かめてから、残りに進みます。

発言を残す字幕か、要点かを決める

話した言葉をそのまま伝える字幕と、要点だけを示す見出しは、役割が違います。この2つを混ぜたまま短くしようとすると、どちらの目的も果たせなくなります。

発言を伝える字幕で意味を省きすぎると、音を聞けない人に必要な内容が届かなくなります。短くするのではなく、表示を分割して対応します。

要点を示すテロップなら、趣旨を変えない範囲で言い換えて短くできます。ただし、同じ画面に発言字幕と要点テロップを大量に重ねないでください。どちらを読めばよいか分からなくなります。

意味のまとまりで改行する

「撮影の前に/明るさを確認します」のように、意味の切れ目で折り返します。読み手は行の終わりでいったん区切って理解するため、区切りの位置が読みやすさを左右します。

名前や短い単語の途中で行が分かれていないかを確認します。一行の文字数を機械的に固定するより、実際の画面で読めるかを見たほうが確実です。

文字を置く位置もそろえます。字幕ごとに左右へ動くと、視線が毎回移動して読む速度が落ちます。

フィールドノート字幕を読みやすくする順番

入りきらないときは、上から順に試します。文字を小さくするのは最後です。

図の内容4段階の見直し表です。まず一画面の情報量を減らし、次に改行位置を意味の区切りに合わせ、次に表示時間を延ばし、それでも収まらないときだけ文字の大きさを調整します。

背景と表示時間を合わせて確認する

明るい服や光の上では、白い文字が埋もれます。背景の違う場面でも読めるかを確認し、必要なら文字の背面に薄い帯を入れるなどして区別します。

表示時間は、内容を知っている自分の感覚で判断しないことが大切です。声に合わせて実際に読み、最後まで読み終える前に切り替わっていないかを確かめます。

投稿先によっては、画面の下部に操作ボタンや説明文が重なります。文字を端いっぱいまで詰めず、余白を残しておくと、どの環境でも読める状態に近づきます。

入りきらないときに試す順番

文字が収まらないときは、負担の軽い順に試します。文字サイズの調整は最後です。

  • 情報量を減らす:一画面で伝えることをひとつに絞る
  • 言い換える:意味を変えずに短い表現にする
  • 分割する:2つの字幕に分けて、順に出す
  • 表示時間を延ばす:声より少しだけ長く残す
  • 文字を調整する:大きさ、行間、端の余白を合わせて見る

上の3つで収まることが多く、そこで直せれば読みやすさは保たれます。文字サイズだけで押し込むと、小さすぎて読めない字幕が残ります。

よくある失敗と、その直し方

ひとつめは、編集画面の大きなモニターで判断してしまうことです。実際には手のひらの画面で見られます。書き出したファイルを、いつも使う端末で再生して確かめます。

ふたつめは、字幕が映像の大切な部分を隠してしまうことです。手元の動きや、見せたい道具の上に文字が重なっていないかを確認します。

隠れている場合は、文字の位置を上に逃がすか、その場面の字幕を前後にずらします。字幕と映像のどちらを優先するかは、その場面で何を伝えたいかで決めます。

字幕を仕事として依頼する場合は、動画字幕の見積もりで確認する条件も先にそろえておくと、作業範囲を伝えやすくなります。

今日の1アクション約10分

自分の字幕を、腕を伸ばした距離で読む

編集画面では読めても、実際の視聴距離では読めないことがあります。距離を変えるだけで判断できます。

  1. 書き出した動画をスマートフォンで再生する。
  2. 腕を伸ばした距離に置き、字幕を最後まで目で追う。
  3. 読み終える前に消える字幕に印をつけ、表示時間か文字数を直す。

音を消して再生すると、字幕だけで意味が通るかも同時に確認できます。