撮影の扉写真。カップと小道具の位置を合わせる撮影準備
つないだときの違和感は、撮影中の小さな記録で減らせる。

映像のつながり(コンティニュイティ)とは、カットが切り替わっても、物の位置や状態、人の動き、画面の中の向きが続いて見えることです。撮影中に確かめるのは、道具と被写体の状態、動きの始まりと終わり、カメラを置く側の3つです。

別々に撮った場面をつないだら、カップの位置が飛んでいる。持つ手が変わっている。見る人は理由を説明できなくても、何かおかしいと感じます。

こうしたずれは、編集で目立たなくできる場合もありますが、撮る段階で防ぐほうが選べる手が多く残ります。ここでは撮影中の小さな記録で防ぐ方法と、記事の後半で180度ルールと確認表の記入例を扱います。

撮り始める前に、状態を記録する

つながりの問題は、撮っているときには気づきにくく、編集で並べたときに出てきます。撮り始める前に、いまの状態を残しておきます。

残すのは、次のような変わりやすいものです。

  • 服装と髪型:袖のまくり方、上着の有無
  • 物の位置:机の上のカップ、道具の向き
  • 中身の量:飲み物や材料の残り
  • 明かり:点いている照明、窓のカーテン

写真を1枚撮っておくのが、いちばん速い方法です。撮り直しや続きの撮影があるときに、同じ状態へ戻すための手がかりになります。

道具と被写体の状態を残す

机の道具の位置、袖の長さ、飲み物の量。前後で変わる要素を確認します。広い画からアップへ切り替える前に、状態を写真で残すと役立ちます。

特に食べ物や書き込みは、元に戻せません。どの状態を先に撮るかを決めておかないと、やり直しがきかなくなります。

撮影順を決める段階から意識します。減っていくもの、増えていくものを先に洗い出しておけば、順番を組み直せます。

記録は写真でかまいません。撮り始める前に机全体を1枚撮っておくと、途中で何かを動かしても戻せます。

動きの始まりと終わりをそろえる

右手で持ち上げた道具が、次の画で左手に移っていると、別の動作に見えます。同じ動きを別の距離で撮る場合は、使う手と置き場所をそろえます。

演者に、速さまで完全一致させる必要はありません。繰り返せる自然な動作を決め、撮影のたびに確認するほうが進めやすくなります。

動作の前後に少し余裕を持って撮っておくと、編集でつなぐ位置を選べます。ぴったりで撮ると、調整の余地がなくなります。

同じ動作を2回続けて撮っておく方法もあります。2本目のほうが動きが安定することが多く、選べる素材が増えます。

カメラの位置を、急に反対へ移さない

人や物の動く向きが急に反転すると、空間の関係を追いにくくなります。左から右へ歩いていた人が、次のカットで右から左へ歩くと、戻ったように見えます。

まず同じ側から、距離や高さを変えて撮ります。方向の変化を抑えるだけで、つながりが安定します。

反対側を見せたい場合は、全体が分かる画を挟む方法もあります。決まりを守ること自体より、見る人が位置関係を理解できるかで判断します。

移動する前に、今どちら側から撮っているかを確認する癖をつけます。夢中で撮っていると、気づかないうちに反対側へ回っていることがあります。

フィールドノートカメラを置く側と、動きの向き

同じ側から撮っている間は、位置関係が保たれます。

図の内容カメラの位置と被写体の関係を示した図です。同じ側から距離や高さを変えて撮ると向きが保たれます。反対側に回ると、人や物の動く向きが画面上で反転します。

撮り直すか、つなぎ方で逃げるか

違和感を見つけたとき、対応は3つに分かれます。

  • その場で撮り直す:条件が残っているうちなら、これがいちばん早い
  • 別のカットを挟む:手元のアップなどで、状態の変化を見せない
  • 使わない:どうしてもつながらないなら、外す判断もある

現場を離れる前に気づけば、撮り直しも選べます。帰ってからだと撮り直しは難しいことが多く、挟むか外すかで対応することになりがちです。

片づけの前に、つながるかどうかを確かめる時間を数分だけ取ってください。あとの手戻りを減らせます。

よくある失敗と、その直し方

ひとつめは、完璧につなげようとして撮影が止まることです。すべての要素をそろえるのは現実的ではありません。見る人が気づく要素に絞ります。

ふたつめは、ずれを編集だけで隠そうとすることです。カットを短くしたり切り替えを増やしたりすると目立たなくなることはありますが、ずれそのものは残ります。

道具を持ち上げる動作を、全体と手元で撮って並べてみてください。手の位置、道具の状態、動きの方向の3点を確認します。現場で確かめると、次から何を記録すべきかが具体的になります。

180度ルールとは

180度ルールは、向かい合う2人の間や、人や物が動く方向に、見えない線(軸)を想定し、カメラをその線の同じ側に置いて撮る考え方です。同じ側から撮れば、カットが変わっても、誰が画面の左にいて、どちらへ動いているかという左右の関係が保たれます。

線をまたいで反対側から撮ると、左右が入れ替わります。向かい合っていた2人が同じ方向を向いて見えたり、歩く人が引き返したように見えたりします。

絶対の禁止事項ではありません。カメラが線を越えて回り込む様子を見せる、全体が分かる画を挟んでから反対側へ移るなど、意図して越える方法もあります。大切なのは、見る人が位置関係を見失わないかどうかです。

まずは線の同じ側のまま、引き・寄りのサイズや高さを変えて撮ると、つながりが安定します。

参考:Adobe「What is the 180-degree rule?」(英語)

カップを持つ場面で、つながりを確かめる表

以下は架空の場面です。机のカップを右手で持ち上げて飲む動作を、引きの画と手元の寄りで撮ってつなぐ場合に確かめることを並べました。

架空の場面「カップを持ち上げて飲む」のつながり確認表
確認項目引きの画で見ること寄りの画で合わせること
手右手で持つ。動き出す前の手の位置同じ右手で、同じ位置から動き始める
カップの位置・残量机の右奥、取っ手は右向き。中身は半分ほど置き場所・取っ手の向き・残量を引きにそろえる。飲んだら注ぎ足して戻す
画面内の方向カップが画面の左から右へ上がっていく線の同じ側から撮り、左から右の向きを保つ
動作前後の余裕手を伸ばす前から、カップを置き終えるまで撮る前後に余裕を残し、つなぐ位置を編集で選べるようにする

撮り終えたら、その場で2つを並べて再生し、4項目がそろっているかを見ます。ずれていれば、条件が残っているうちに撮り直します。確認する点を撮影リストの該当カットの横に書いておくと、次の撮影でも同じ点を見られます。

今日の1アクション約12分

2カットをその場でつないで確かめる

家に帰ってから気づくと撮り直せません。現場で並べて見ます。

  1. 道具を持ち上げる動作を、机全体と手元で1回ずつ撮る。
  2. その場で2つを並べて再生する。
  3. 手の位置・道具の状態・動きの向きの3点を確認する。

違和感が見つかったら、編集で隠す前に撮り直します。現場のほうが早く直せます。